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「諸星大二郎原画展」と「逆柱いみり個展 墨壺獣」

11月15日。雨のそぼ降る午後、僕は池袋駅の地下を歩いていた。目指す先は、西武池袋本店の西武ギャラリー――


諸星大二郎原画展


みみずく先生の妖怪博士見習い日記-20131115_01



開催初日ということで、勇んで足を踏み入れた会場。しかし、入場者先着プレゼントのオリジナルポストカード(非売品)は既に品切れ――僕の気持ちは萎えてしまった。「来週、早い時間にまた来なさい!」という諸星先生のメッセージと捉えて、現実を前向きに受け止めよう(笑)


ご存知の方も多いと思うが、諸星大二郎先生について簡単に説明しよう。諸星先生は、異色漫画家に分類されることが多いが、その知名度や影響力は計り知れない。「生物都市」で第7回手塚賞入選後、作家活動を本格化させ、「妖怪ハンター」シリーズや「暗黒神話」「西遊妖猿伝」、「栞と紙魚子」シリーズ等、SFや伝記物を中心に数多くの作品を描いている。その独創的な画風と世界観は多くの漫画家に影響を与えた。例えば、『らんま1/2』や『犬夜叉』等で有名な高橋留美子先生は、諸星先生を尊敬するあまり、『うる星やつら』の主人公を「諸星あたる」と名付けたくらいだ。


諸星先生との出会いは、高校時代、親友・めぐてつ 君が『マッドメン』を貸してくれたことに始まる。『マッドメン』は、パプア・ニューギニアから日本にやって来た少年コドワが不思議な出来事を巻き起こす、というストーリーだ。これを読んだ僕は諸星先生に一目惚れした。


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その後、「妖怪ハンター」シリーズにのめり込む。このシリーズは、民俗学や考古学を踏まえた考察が散りばめられていて、単なるオカルト漫画とは一線を画している。妖怪好きの高校生だった僕は、当然の如く、稗田礼二郎に心がときめいた(笑)


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同時に、諸星先生の短編集も買い集めた(地元のブックオフで、レアな本が100円で手に入ったのは有り難かった)


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また、諸星先生は小説も書かれている。地元の新聞でその書評を読んだ僕は即購入した。


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『キョウコのキョウは恐怖の恐』の中では、特に「濁流」という作品が大好きで何度も読み返した。しばらくしてから『蜘蛛の糸は必ず切れる』も購入し、読み耽ったのを覚えている。諸星先生は漫画だけでなく、味わい深くて印象的な小説も書かれるのだ。

今でも僕は、実家に帰省すると、夜中に諸星作品を読み漁る。もはや儀式である(笑)


前置きが長くなったが、原画展の感想を書いていこう。

まず驚かされるのが入り口付近だ。有名漫画家達のメッセージ色紙がずらっと並んでいる。以下の漫画家が原画展にお祝いの言葉を贈っているのだ。


吾妻ひでお、大友克洋、星野之宣、江口寿史、細野晴臣、寺田克也、高橋留美子、山田章博、近藤ようこ、藤田和日郎、ヤマザキマリ、高橋葉介、伊藤潤二、谷川史子、和泉晴紀、井上正治(公式HP より)


高橋留美子先生の色紙には、率直に「心から尊敬しております!」の文字。高橋葉介は「またいっしょに京都いきましょうね」と書かれていて、諸星先生とヨウスケ先生の仲の良さが微笑ましい。多くの漫画家に影響を与え、尊敬を一身に集める諸星先生……僕も尊敬しています!!


会場内には、「妖怪ハンター」シリーズ等の長編作品だけでなく、「不安の立像」や「夢みる機械」といった短編作品の表紙絵も展示されている。単行本の表紙となった絵も生で見られるので、細かな色遣いや修正の痕跡までまじまじと観察した。また、漫画の原稿もいくつか展示されていて、妖怪ハンターの「ヒトニグサ」は全部読むことができる(ただし、後半部分はリブロ池袋本店の4階まで行かないと読めない)諸星先生自作の切り絵やゴム印もあり、その手先の器用さに脱帽した。


「生物都市」に特に顕著だが、諸星作品の特徴は「融合」だと思う。諸星ワールドでは、本来相容れない二つ以上の対象が、交ざりあい、一つとなり、新たな生命として怪しく蠢く。稗田礼二郎は、人の顔が浮かび上がった巨木や人の形をした岩石を背にして立つ。栞と紙魚子の日常風景には妖怪変化が滲み出し、コドワの背後には精霊達が顔を覗かせている。ロボットや獣人、邪神といった非日常的な存在が、原画を通して、見る者の視線を捕える――そこに、我々の住む現実世界と、諸星先生の描く非現実世界との「融合」が生まれるのだ。諸星作品は、ストーリーの面でも「融合」が顕著である。民話や神話と現代社会とが違和感なく溶け合った不思議な世界に、読者はぐいぐい引き込まれるのだ。原画展では、その引き込まれる感覚を堪能できる。現実逃避の快楽を僕は存分に味わった。


会場の最後の方では、『不熟 1970~2012 諸星大二郎・画集』の原画も展示されている。


不熟 1970~2012 諸星大二郎・画集 Morohoshi Daijiro ARTWORK
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会場では、諸星先生の直筆サイン入り『不熟』を先着100名が購入できる。僕は到着が遅かったので当然購入できず、「うわぁ~最悪~」と思った。しかし、よくよく考えると『不熟』のサイン本、既に持っていたわ。しかもイラスト入り!(詳細はこちら )後悔の念に苛まれなくて済んだぜ(笑)


会場を出た僕は、池袋駅から山手線に乗って渋谷駅で降りた。


雨の中、六本木通りを歩いてビリケンギャラリーへ――


逆柱いみり個展 墨壺獣


みみずく先生の妖怪博士見習い日記-20131115_02



先日、ビリケンギャラリーに「石黒亜矢子 化け猫展」を観に来た際、逆柱いみり先生の個展が開催されることを知った。そのとき、僕の胸は高鳴った。これって恋!?――なわけない(笑)


逆柱先生については、ご存知ない方が多いかもしれない。逆柱先生は漫画家兼イラストレーターで、寡作な上、出版物の多くは絶版。諸星先生と同じく異色漫画家に分類されるが、その奥さんもまた異色漫画家・みぎわパン先生である。みぎわ先生といえば『ぱんこちゃんになろうっ』だろう。あとは、『ちびまる子ちゃん』のみぎわさんはみぎわパン先生から名前を取った、という裏話がある。


ぱんこちゃんになろうっ
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話を元に戻して、逆柱先生との出会いを書いておこう。こちらも高校時代、倫理教師K氏から『象魚』を借りたのが事の発端だ。

象魚
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『象魚』の内容は覚えていないが、独特なインパクトだけは記憶に残った。高校生の僕は『象魚』を古書店で探したが、結局、手に入らず。そのまま、逆柱先生とは疎遠になっていた。


そんな逆柱先生との再会は、つい最近のことだ。8月11日の「アックスガレージセール at basement 」で『空の巻貝』のサイン本を購入した。そのとき、僕は運命的なものを感じてしまった(笑)


空の巻き貝
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そんな逆柱先生に誘われて、僕はビリケンギャラリーへ足を踏み入れた。とりあえず住所と氏名を記入……ん!?近藤ようこ先生のお名前の隣に僕の住所を書いてしまった!!近藤先生、本当に申し訳ありませんでした。


気を取り直して作品鑑賞。逆柱先生の描く世界は極彩色の白昼夢だ。細かく丁寧に描きこまれた異形の者達――それらが平面上をちょこまか動き回っているようだ。全ての異形を観ようとするとかなり時間がかかるし、観るたびに新しい発見があるというのがまた面白い。会場にいた女性客は、奥に展示してある絵の前でフリーズしていた。彼女は逆柱ワールドに囚われ、現実世界に戻って来られなくなったのだろう。


僕も高校時代、『象魚』を読んだ後に逆柱ワールドへ迷い込んだことがある。機械と生物とが入り乱れた、複雑怪奇な迷宮。階段を上ったり下りたりしながら、僕は周囲の風景が変化するのに見入っていた。それは夢だった。夢でありながらも生々しい実感を伴い、覚醒後もしばらく余韻に浸っていた。だからこそ、僕は『象魚』を探したのだ。もう一度、逆柱ワールドへ足を踏み入れたくて――


当時の望みが、今頃になって叶った。多感な高校生だった頃の感覚が蘇ってきた。それは、幼い子どもが抱く恐怖――形の定まらない、漠然とした何かに怯えるあの気持ち――にも似ている。逆柱先生の作品群は不安を喚起する一方で、懐かしさを伴って無意識にまで浸透する魅力を持っている。


彩色された絵画作品以外にも、立体作品やイラストも展示されていた。立体作品は、怪獣やロボットの人形だ。ただし、我々がイメージする怪獣やロボットとは異なり、吐息や脈拍が伝わってきそうな躍動感がある。既存の何かを模倣したのではなく、逆柱先生の頭の中にあるイメージを形にしたような作品群――これらもまた、逆柱ワールドから現実世界へ抜け出してきた者達に違いない。


会場全体が異形の空間へと変貌していた。僕は、白昼夢の世界、もしくは幼い頃に見た悪夢の世界に迷い込んでしまったのだ。そんな錯覚を楽しませてもらった。


諸星大二郎先生と逆柱いみり先生――お二人の描く摩訶不思議な世界を鑑賞し、僕は至福のひとときを過ごすことができた。この悦びを、皆さんにも味わってもらいたい。お近くにお住まいの方は、是非会場へ足をお運びください!!

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[ 2013年11月16日 03:00 ] カテゴリ:その他のイベント | TB(0) | CM(0)
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都内で家庭教師業を営むみみずく先生です。日ごろ、生徒さんや保護者様とお話ししながら、密かに妖怪文化の普及に努めています(笑)

現在、家庭教師業の傍ら、在宅ライターとしてのお仕事もしています。数社から継続して依頼を受けています。ライターとしての更なるスキル向上を目指し、不定期でこちらのブログも更新しています。

妖怪関係の記事や趣味の記事がメインですが、好きな人やお店等も紹介していくつもりです。エログロ・オカルト・アングラ・サブカル等、ちょっと過激な記事も紛れると思いますが、苦手な方はそういう記事を読み飛ばしてください。

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