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境港の地元妖怪「おたねさん」に想う

JR境港駅を出ると、そこは水木しげるロード。


みみずく先生の妖怪博士見習い日記-20131118_01


境港駅入り口近くでは、水木しげる大先生と鬼太郎ファミリーが観光客を出迎えてくれる。


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御大が忙しそうに原稿を書いている前を通って、線路沿いに南へ歩いていくと――


みみずく先生の妖怪博士見習い日記-20131118_03


踏切の傍に何やら奇妙なものがある。実はこれ、「おたねさん」という妖怪を祀った祠なのだ。こちらのサイト によると、おたねさんは夜道で人をたぶらかす雌狐だったそうだ。ただし、おたねさんに悪戯されるのは夜遊びをしている者だけ。真面目な仕事で通りかかった者には危害を加えなかったとか。


僕がおたねさんの存在を知ったのは、妖怪オンリー というイベントでのこと。妖怪造形家の式水下流 さんが教えてくださったのだ。

「境港駅を出て米子方面に歩いていくと、『おたねさん』という地元妖怪の祠があります。是非、見に行ってください」


水木しげるロードから外れた祠周辺は、歩行者もほとんどいなくて、道路を車が行き交うばかり。運転手は、このような場所に妖怪の祠があるとは露ほども思わないで、車を走らせるのだろう。彼ら・彼女らの視界には、そもそもおたねさんが映っていないはずだ。そのくらいひっそりと静かにおたねさんは佇んでいる。


みみずく先生の妖怪博士見習い日記-20131118_04


――この中はどうなっているのだろう?

気にはなるものの、勝手に扉を開けるわけにいかないので、横から観察する。


みみずく先生の妖怪博士見習い日記-20131118_05


「昭和五十七年七月吉日建之」――僕が生まれた年の一年前だ。ということは、この祠は、約30年前に建てられたということだ。意外に新しい。この祠は、どういう経緯で建てられたのか?伝承を後世に残す目的だったのか?僕の中で、謎が深まっていった。


――おたねさんにたぶらかされたい!!

そんな邪な思いを抱いた僕は、その夜、再びおたねさんに会いに行った。


みみずく先生の妖怪博士見習い日記-20131118_06


街灯に照らされて、手前の石棒の影がニュッと伸びる。不気味な感じがする。しかし、おたねさんは、僕を全く相手にしてくれなかった。僕は、ちゃんと夜遊びのつもりで来たのだが……(笑)


みみずく先生の妖怪博士見習い日記-20131118_07



なお諦めきれなかったので、翌朝もおたねさんを訪ねた。この執着ぶり、まさに僕はストーカーだ!!普通は妖怪の方が人間をつけ回すのに(笑)

「おたねさん、おはよう!」

僕の元気な挨拶に応えるかの如く、朝日に照らされたおたねさんは生き生きと輝いていた(ように見えた)


境港を発つ日、妖怪ショップゲゲゲ店長・野々村久徳 さんにおたねさんのことを聞いてみた。野々村さんは地元のことにお詳しいので、おたねさんについても何かご存知かと思ったからだ。が、予想に反して、「おたねさん!?聞いたこと無いなぁ……」というお返事だった。おたねさんは、地元の方々にもあまり認知されていないようだ。まさに忘れられた妖怪。


伝承を読む限り、おたねさんはどうも戒めとして創作された妖怪の可能性が高い。たとえ当初は創作だったとしても、人々の間で語り継がれ祠まで建てられている以上、おたねさんという妖怪は確かに存在していた。しかし、その存在自体が、現在では否定されようとしている。おたねさんの祠が境港駅近くに1つ残るのみで、その伝承を語り継ぐ住民もいない。


何よりも、人間の活動時間が延長されるにつれて、夜が明るくなってしまった。おたねさんの祠付近も、夜通し街灯の明かりで煌々としている。しかも、最近では、何を以て「夜遊び」と言うのかもよく分からない。中高生ですら真っ暗になってから帰宅する時代だ。大人の立場からも、子どもに「夜遊びするな」とは言いにくいのではないか?果たして、おたねさんの出る幕は無くなった。


こうして、おたねさんは存在しないことになってしまうのか?


死んだ人間であっても、他人の記憶に残り続ける限り、その人は「生きている」とされることがある。故人が生前「生きた証」を確かに残しているから、そう言えるのだ。一方、妖怪はそもそも実体が無く、「生きた証し」も無い。となれば、妖怪を生き長らえさせるには、我々人間が意識的にその妖怪について語り伝えていくしかない。おたねさんを生かすも殺すも我々次第ということだ。


おたねさんとの出会いを通して、大事なことを考えさせられた。来年、また会いに来るからね!!(了)




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[ 2013年11月18日 12:30 ] カテゴリ:妖怪随筆 | TB(0) | CM(2)
1. 無題
おたねさん、忘れた頃にフッと現れるかもしれませんよ~

しかし本当に、妖怪達の伝承が途絶えていくのは悲しいですね…

なんだか、人々の悪い行為に対する罪悪感の感じ方が
昔より薄くなってしまっている気がします。
バレなければ良い…そんな考えなんでしょうかね。

いつしか僕ら人間自身が、質の悪~い妖怪になってしまったのかもしれません
[ 2013/11/18 18:49 ] [ 編集 ]
2. Re:無題
>猫将軍さん

僕の家庭教師指導区域におたねさんが現れてほしいです(笑)
最近の子ども達は、夜の外出を何とも思っていませんからね……

妖怪は常に人間とともにある存在ですから、
社会の価値観が変われば妖怪自体も変わってしまいます。
昨今、都市伝説としてはびこっている妖怪は、
どれも猟奇的で血なまぐさい者ばかりです。
それは、実在する人間の、後ろ暗い部分の投影なのかもしれませんね。

現代において一番怖いのは人間だと思います。
[ 2013/11/18 22:42 ] [ 編集 ]
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現在、家庭教師業の傍ら、在宅ライターとしてのお仕事もしています。数社から継続して依頼を受けています。ライターとしての更なるスキル向上を目指し、不定期でこちらのブログも更新しています。

妖怪関係の記事や趣味の記事がメインですが、好きな人やお店等も紹介していくつもりです。エログロ・オカルト・アングラ・サブカル等、ちょっと過激な記事も紛れると思いますが、苦手な方はそういう記事を読み飛ばしてください。

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