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「追いかける山姥」の系譜から考察する『三枚の御札』のモチーフ――記紀神話のイザナミから都市伝説のターボばあちゃん・口裂け女まで――

境港妖怪検定不合格答案集第2弾。今年上級を受験する予定の方は、決して参考にしてはいけない解答例だ(笑)

今回の論文は、「あなたの地元の妖怪や不思議な伝説についてわかりやすく説明せよ」(過去問)の「不思議な伝説」に焦点を当てて書いたものだ。ただ、ジェンダー論を含むテーマの論文は、果たして妖怪検定の論文として求められているのか?そこからまず考える必要がありそうだ。

「追いかける山姥」の系譜から考察する『三枚の御札』のモチーフ――記紀神話のイザナミから都市伝説のターボばあちゃん・口裂け女まで――



昔話『三枚の御札』は、山姥に追いかけられた小僧が御札を投げ、そのお札が川や山などの障害物になる話である。その他にも、男が山姥に遭遇して追いかけられ危うく難を逃れる話は数多い。本論文では、典型的な山姥の昔話に仮託されたモチーフについて考察したい。

『三枚の御札』については、記紀神話との類似が指摘される。女神イザナミは、火の神カグツチを産んだため命を落とす。夫のイザナギは彼女を追って黄泉の国へ行くが、醜く変貌したイザナミの姿を見て逃げ出した。怒り狂ったイザナミは黄泉醜女にイザナギを追いかけさせる。しかし、イザナギは髪飾りやくしを投げつけて、黄泉醜女から逃げ切った。また、イザナミは比婆山に葬られたという記述もあり、この「比婆山」が山姥の語源とも言われる。山姥とイザナミは非常に縁が深いのだ。

イザナミの話がどのような意味を持つのか。たとえば、国産みにおいて、女性であるイザナミからイザナギを誘ったことで、不具の子ヒルコが産まれたとされる。これは女性差別の思想であるとの指摘がある。そもそも記紀神話は、天皇と祭神を結びつけ、天皇の権力の正統性を証明するために編纂された。天皇中心の国作りは男性優位の国作りでもあり、神話にもその傾向が反映されたと考えられる。地母神であるイザナミは死のイメージを付与され、生者の世界から追いやられたのだ。権力を掌握する男性の象徴がイザナギで、権力を追いかけるも追いつけない女性の象徴がイザナミなのではないか。

男性優位の社会構造は、天皇から武士に政治の実権が移っても変わらなかった。このような歴史的経緯の中で、男性に対する女性の嫉妬心と、女性に対する男性の潜在的恐怖とが生じたと考えられる。嫉妬と恐怖はイザナギ・イザナミの神話として語り継がれ、それが変形したものとして山姥の話が登場したのだろう。「山姥」は「鬼女」の系譜に連なる。謡曲『山姥』では、妄執を抱いた女が山姥となると語られる。また、嫉妬に狂った女が鬼になるという話も多い。男性からすれば、女性の嫉妬はやはり怖いものだ。その恐怖が山姥(鬼女)を生み出し、男を追いかけるのだ。一方、山姥の難を逃れる方法も示すことで、男性はあくまでも権力の座を女性に譲ろうとはしなかった。山姥の昔話からは、歴史的に形成された男女の力関係を読み取れるのだ。

戦後の日本では、女性の地位が飛躍的に向上した。とはいえ、男女の役割分担意識や賃金格差など、男女不平等は依然として根強い。こうした社会において、「追いかける山姥(鬼女)」のイメージは健在である。高速道路を疾走するターボばあちゃんや百メートルを数秒で走る口裂け女など、山姥の系譜に連なる妖怪たちが都市伝説に登場する。日本が真の男女平等社会にならない限り、彼女らは人々の心を脅かし続けるのだ。
[ 2014年08月11日 09:00 ] カテゴリ:妖怪検定上級対策 | TB(-) | CM(0)

提灯小僧の存在意義に関する一考察――送り提灯・提灯お化け・提灯お岩との比較検討を通して――

今年も第9回境港妖怪検定の実施日が決まり、8月1日より受験申込受付が始まった。詳細は公式HPで確認してほしい。

境港妖怪検定公式HP

僕は今年も上級受験のために鳥取県境港市へ飛ぶ予定だ。昨年は見事に上級不合格だったので、今年こそは合格を勝ち取りたいところ……。そろそろ勉強を始めなくてはならない。

昨年も、上級対策として、事前に1200字論文をいくつか作成した。不合格の反省も兼ねて、それらの論文を公開していこうと思う。
今回公開するのは、「あなたの地元の妖怪や不思議な伝説についてわかりやすく説明せよ」という過去問を意識して作成した論文だ。僕の地元が宮城県なので、仙台の城下町に現れたという「提灯小僧」について論じている。問題文に「わかりやすく」という但書があるのに、わかりやすく書かれていないという問題点がある。そこが不合格の原因なのだろう、と反省している(笑)

提灯小僧の存在意義に関する一考察――送り提灯・提灯お化け・提灯お岩との比較検討を通して――



宮城県には、提灯小僧の伝承がある。提灯小僧とは、その手に提灯を持った少年の姿をした妖怪である。雨の夜道を人が歩いていると、後ろから提灯小僧が現れて、人を追い越したり立ち止まったりを繰り返し、最後には消え去ってしまう。この提灯小僧の存在意義は何か。本論文では、提灯系の妖怪を分類・整理した上で考察を加え、提灯小僧の謎に迫りたい。

まず取り上げたいのが、江戸本所に語り伝えられた提灯小僧の伝承である。これは、本所七不思議の送り提灯と同一視される。送り提灯は、提灯のように揺れる明かりが人を送って行くように現れ、消えたり灯ったりを繰り返す怪異である。宮城県の提灯小僧と類似した現象だが、送り提灯の怪火は提灯の明かりと断定できない。江戸本所の提灯小僧も、本当に提灯かどうかは疑わしい。

次に、提灯に口と目の付いた提灯お化けを取り上げる。鳥山石燕が『百器徒然袋』に描いた「不落不落」はこのお化けに近いが、石燕の解説によるとその実体は狐火だという。つまり、不落不落も送り提灯と同様の怪火に過ぎないのだ。一方、山形県には、古びた提灯が化けて出るという昔話がある。こちらは、器物が年を経て妖怪化する付喪神である。山形県の昔話を除くと、提灯お化けの具体的な伝承はほとんど残されていない。そのため、提灯お化けが子供向けに創作された妖怪だという説もある。

最後に、提灯お岩を取り上げる。提灯お岩は、鶴屋南北『東海道四谷怪談』に登場する幽霊・お岩が提灯に乗り移った姿である。葛飾北斎が『百物語』シリーズで描いたものが有名だろう。この提灯お岩は、歌舞伎における「提灯抜け」という仕掛けがヒットしたことから流布した創作妖怪である。

以上、提灯系の妖怪は、怪火・付喪神・幽霊の憑依したものに分類され、中には創作も見られる。ただし、創作妖怪にしても、人々に違和感なく受け入れられた事実には着目したい。提灯と妖怪とは相性が良いのだ。

提灯が庶民に普及したのは江戸時代である。当時の夜は、現代とは異なり非常に暗かった。夜の外出では、漆黒の闇と人間とを分かつ唯一の光源が提灯だった。提灯は、いわゆる「境界」だったと考えられる。境界とは二つ以上の領域が相接するところである。空間的な境界には辻や橋、川、山、トイレ等がある。昼と夜とが接する逢魔時は時間的な境界と言えよう。これらの境界では怪異が発生しやすいとされる。したがって、境界としての提灯に妖怪が現れても不自然ではない。怪火や創作妖怪も「提灯」と名付ければ、人々が受け入れやすい存在となったのだ。

こうした背景の下、提灯小僧が誕生したのだろう。提灯小僧は理不尽な殺人が行なわれた場所に出没するという説がある。提灯小僧が手に持つ提灯は、死者の無念の思いが現出する境界であり、その思いを人々に違和感なく伝える役割も果たしていたと考えられる。
[ 2014年08月10日 09:20 ] カテゴリ:妖怪検定上級対策 | TB(-) | CM(2)
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管理人:みみずく先生@妖怪博士見習い

都内で家庭教師業を営むみみずく先生です。日ごろ、生徒さんや保護者様とお話ししながら、密かに妖怪文化の普及に努めています(笑)

現在、家庭教師業の傍ら、在宅ライターとしてのお仕事もしています。数社から継続して依頼を受けています。ライターとしての更なるスキル向上を目指し、不定期でこちらのブログも更新しています。

妖怪関係の記事や趣味の記事がメインですが、好きな人やお店等も紹介していくつもりです。エログロ・オカルト・アングラ・サブカル等、ちょっと過激な記事も紛れると思いますが、苦手な方はそういう記事を読み飛ばしてください。

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